しかし3500GTが世に出ると直ぐさま、エンスージアストからマセラティにリクエストが届いた。「あの450SのV8エンジンを載せるべきではないか!」と。新開発V8エンジン搭載、最新鋭ワークスカー450Sのポテンシャルの高さは当時評判であった。
その声に応えて、トルクフルかつアグレッシブな特性を持ったV8レーシング・エンジンは世界最高峰のカーデザイナー達の競作によるユニークなボディと組み合わされ、マセラティの元祖フォーリセリエ5000GTは誕生した。
この5000GTにおいてはじめてマセラティのロードカーに採用された4.9LV8エンジンは改良が加えられながら、マセラティの主力パワートレインとして広く用いられ、1990年まで生産が続いた。モデナ地区のスポーツカーブランドとして初の4ドアサルーン、クアトロポルテをはじめとしてギブリ(初代)、メキシコ、インディ、ボーラ、カムシン、クアトロポルテⅢ(ロイヤル)などにこのV8エンジンは採用されてきた。
オイルショック後のマーケットへの対応からダウンサイジングが行われたビトゥルボ系各モデルにおいても、ハイパフォーマンス版のシャマル、クアトロポルテⅣのトップレンジなどにおいてV8エンジンが復活した。やはりマセラティV8には独特の魅力がある。
”Gruppo Maserati Ferrari"体制となり、マセラティとフェラーリはV8エンジンの共同開発を進めることとなった。マセラティ・スパイダー以降、クーペ、グランスポルト、クアトロポルテⅤなど、そのラインナップは全て新開発V8エンジンを採用することとなったのだ。この両社の共同開発・製造体制を実現するために大きな設備投資が行われ、材質、工作精度は大幅に改善された。パフォーマンス、信頼性共に世界最高峰の新世代エンジンが誕生したのだ。
当初の自然吸気エンジンは世代交代となり、現行エンジンはツインターボ化され、厳しい環境基準にも対応可能なスペックとなっている。パワフルでありながら、燃料消費量が抑えられた、ニュージェネレーション・パワートレインである。
2013年にデビューした現行クアトロポルテは当初よりこの3.8L V8エンジンを搭載しているが、2020年にトロフェオグレードが誕生し、最高出力は530psから580psへとパワーアップしている。
続いて登場したEセグメントのギブリ(3代目)は当初V6エンジンのみの搭載であった。ちなみにこのV6エンジンは前述のV8の2気筒分をカットし6気筒としたモジュラータイプであり、こちらもV8エンジンと素性を同じくする。「ギブリは当初よりV8エンジン搭載を前提として設計を進めた」と当時のチーフエンジニア、ロベルト・コラーディが語っていたように、2020年にはギブリ・トロフェオが追加され遂にV8エンジンが搭載されることとなった。
ギブリと基本ストラクチャーを共有するレヴァンテも同様にV8エンジン搭載は開発時より想定されていた。2018年には550psスペックのV8エンジンを搭載したGTS。続いて2019年には590psのトロフェオが導入された。トップレンジたるV8の導入にあたっても、エレガントなテイストを追求する550psスペックと、ハイエンドのパフォーマンスを追求した590psスペックという二つの異なったチューニングを採用したのも、V8エンジンへの強い拘りも持つマセラティならではの選択だ。
さて、現在はクアトロポルテ、ギブリ、レヴァンテのトップレンジ・モデルとしてそれぞれV8のトロフェオがラインアップされている。それぞれマセラティらしいエレガントさと、その対極にあるようなアグレッシブさが共存する、マセラティ歴代最速の4ドアモデルとしてマセラティスタに高い人気を博している。
先だってこのV8エンジン搭載のトロフェオ各モデルが今年の後半で生産終了となることがアナウンスされた。そのアナウンスと同時期にマセラティの聖地であるモデナでは”モーターヴァレーフェスト”と称す当地の自動車イベントが地域をあげて開催された。世界遺産のドゥオーモに隣接するモデナ中心部の歴史的広場にはV8エンジンを搭載するレヴァンテ、ギブリ、クアトロポルテのゼーダ・エディションが並び、皆の注目を集めた。
1959年にマセラティ5000GTがV8エンジンを搭載した最初のモデルとして誕生して以来、8気筒エンジン搭載車は10万台以上製造・販売されている。今回生産を終えるV8の3モデルは、将来に向けてもコレクターズ・アイテムとして高い存在感を持ち続けることも間違いないであろう。来る7月に開催されるグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードにおいてはV8エンジン搭載の最終モデルとしてギブリ334ウルティマ、レヴァンテV8ウルティマが発表される。マセラティスタは要注目だ。
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