マセラティ、特別プログラム「マセラティ メッカニカ・リーリカ」を発表: 「グラントゥーリズモ」と「グランカブリオ」のモデナ帰還を祝う
モデナ発、2025年11月6日 – マセラティは100年以上にわたる歴史の新たな章を開きます。「グラントゥーリズモ」および「グランカブリオ」の全モデルの生産が、歴史あるモデナの工場で再び行われることとなりました。イタリアンエレガンスとスタイルを体現するこの2つのモデルは、その歴代モデルが誕生した地に帰還し、マセラティが誇る卓越した技術とクラフトマンシップの継承を確かなものとします。
この象徴的な再始動により、マセラティは改めて、ブランド発祥の地であるモデナ、そしてイタリアのモーターバレーに対して、変わることのない信念と責務をもって歩み続ける決意を再び示しました。
この歴史的な瞬間を祝し、マセラティはメインパートナーである世界的オーディオブランド、ソナス・ファベールとのコラボレーションのもと、11月5日から9日にかけて多彩な記念イベントを開催しました。
音の芸術性とマセラティのスピリットが響き合うこのパートナーシップは、両ブランドが追求する音響技術へのこだわりを象徴しています。このプログラムでは、従業員や顧客、関係機関、そしてモデナの街全体を巻き込み、2台のワンオフモデルの世界初公開と、限定の「フォーリセリエ」カスタマイズパックの発表が行われました。
「マセラティ メッカニカ・リーリカ(Maserati Meccanica Lirica)」は、モデナの文化を象徴する二つの芸術、オペラと「グラントゥーリズモ」の出会いを讃えるコンセプトです。1947年に誕生した「A6 1500」から続くエンジニアリングの伝統と、オペラが持つ感情の表現力。その二つが融合し、メカニカルなパフォーマンスを美と感性の体験へと昇華させる、新たな“言語”が誕生しました。
このコンセプトは、マセラティのあらゆる部門を結びつける創造のプラットフォームでもあります。製品の独自性と文化的価値を融合させ、モデナの街とマセラティを“音”で結びつける――すなわち、エンジンの響きが音楽となり、力強さと美の調和がトライデントの魂そのものを表現する世界を創り上げています。
モデナでは、機械が奏でる音にも旋律があり、音楽には独自の表情があります。
この街でマセラティの鼓動が鳴り響き、再び自らの声を取り戻します。
マセラティ CEO のジャン=フィリップ・インパラートは次のように述べています。
「『グラントゥーリズモ』と『グランカブリオ』の“帰郷”は、私たちの偉大な歴史への敬意であると同時に、誇りと確信をもって未来を見据える戦略的かつブランドのアイデンティティに根ざした選択です。この決断は、マセラティの心であるモデナの存在を改めて強調し、イタリアにおける卓越性、技術力、そして未来へのビジョンに対して投資を続けるというブランドのコミットメントを改めて示すものです。
また、この取り組みは、ブランドに関わるすべての人々の結束と帰属意識の象徴であり、マセラティという素晴らしいブランドに今後も継続的に投資していくという私たちの確固たる意志を示しています。」
マセラティCOO のサント・フィチーリは次のように述べています。
「この土地は、イタリアのモーターバレーにおいて最も長い歴史を持つ、マセラティというブランドの心であり魂です。私たちはここから世界へ、唯一無二のパフォーマンスとデザインを発信してきました。今回、2つの象徴的なモデルが再びモデナへと帰還することは、ブランドにとっての重要な投資であると同時に、この地域に暮らす人々への深い敬意の表れです。マセラティは地域社会との強い絆を育みながら、共に未来を築いてまいります。」
1.「マセラティ メッカニカ・リーリカ」
モデナに響く、マセラティの“帰郷:「Maserati Meccanica Lirica Soirée」
マセラティは、「グラントゥーリズモ」および「グランカブリオ」の生産がモデナへと帰還することを記念し、「マセラティ メッカニカ・リーリカ」と題した特別なイベントを開催しました。
11月5日から9日にかけて、モデナの街は光に包まれ、歴史ある中心街をはじめ、マセラティの象徴であるヴィアーレ・チロ・メノッティ工場、そしてテアトロ・コムナーレ・モデナ・パヴァロッティ=フレーニ劇場が、祝福の舞台となりました。
このイベントは、機械工学の精密さと音楽の旋律という、モデナを象徴する2つの文化の融合を讃えるものであり、エンジニアリングと芸術が響き合いながら、“美”と“感性”を表現します。
11月5日(水)、モデナのテアトロ・コムナーレ・パヴァロッティ=フレーニで、マセラティが華やかに舞台の主役を飾りました。歴史あるホワイエの扉が開かれ、来場者はこの夜限りの特別なショーを体験しました。
メインパートナーのソナス・ファベールと共に開催された限定イベント「Maserati Meccanica Lirica Soirée」において、アート、音楽、そしてデザインが融合した壮麗なショーの幕が上がりました。
マセラティ経営陣のホスピタリティのもと、社員や地域の関係者、世界各国のメディア、そしてブランドの歩みを共にしてきたパートナーたちが一堂に会しました。
劇場全体がひとつの物語となり、来場者は期待と驚きに満ちた世界に包み込まれました。ホワイエから客席、ボックス席に至るまでが舞台の一部となり、『トゥーランドット』の物語とマセラティの象徴であるトライデントの伝説が交錯する舞台へと変貌。音楽と光が織りなす演出が、観客を物語の世界へと導きました。
吉田裕史マエストロの指揮のもと、モデナ・フィルハーモニー管弦楽団がプッチーニのオペラから数々の有名なアリアを演奏しました。「誰も寝てはならぬ」の旋律が劇場を包み込み、カラフが「Il Suo Nome è Amore(その名は愛)」と歌い上げた瞬間、「グラントゥーリズモ 」のワンオフモデル「メッカニカ・リーリカ」がそのベールを脱ぎました。
舞台は再び転換し、世界的に著名なイタリア人アーティスト兼作曲家ダルドゥストの音楽が響き渡りました。彼のサウンドは、イタリア・オペラの伝統を未来へと導く音の風景へと昇華させ、クラシックの荘厳さとエレクトロニックの躍動を融合させた現代的なハーモニーを奏でました。
「誰も寝てはならぬ」の旋律が再び流れる中、モデナとその周辺で撮影された「グラントゥーリズモ」と「グランカブリオ」の新たなキャンペーンビデオのプレミア上映が行われると、客席からは歓声と拍手が沸き起こりました。映像は、モデナの街、音楽、そしてマセラティのエンジンサウンドの深い結びつきを描いています。
オペラ初演の伝統にならい、この祝賀の夜は、劇場のホワイエに設けられた特別なガラディナーで幕を閉じました。芸術とモデナの大地から着想を得たメニューは、ミシュラン星付きシェフであり、世界にモデナの卓越性を広めるアンバサダーでもあるマッシモ・ボットゥーラ氏によって監修されました。彼の料理には、マセラティと同じく、伝統・革新・そして細部へのこだわりが息づいています。
モデナの街の中心で繰り広げられた3日間の祝祭
感動に包まれた「Maserati Meccanica Lirica Soirée」の夜に続き、舞台はマセラティのモデナ工場へと移りました。ここでは、地元自治体関係者、マセラティ経営陣、そして世界各国のメディアが見守る中、新型「グラントゥーリズモ」と「グランカブリオ」の新しい生産ライン開設を祝うテープカットセレモニーが行われました。
この日のプログラムでは、来場者が歴史あるヴィアーレ・チロ・メノッティ工場を巡り、その新しい姿と革新の息吹を感じ取りました。そして、モデナの職人とエンジニアによって創り上げられた「グラントゥーリズモ」と「グランカブリオ」のワンオフモデル「メッカニカ・リーリカ」が、ついにそのベールを外しました。
午後には、コレツィオーネ・マセラティ・ウンベルト・パニーニの新展示エリアを訪れ、マセラティの歩んできた軌跡と未来への鼓動を感じるひとときを過ごしました。
祝祭の余韻は週末にも続き、11月8日(土)と9日(日)の2日間、マセラティを愛する顧客とマセラティ・クラブ・イタリアのメンバーが集い、「トライデント・エクスペリエンス」と題した特別なイベントを開催しました。ブランドへの情熱を共有する人々が一堂に会し、マセラティの世界観を心ゆくまで堪能します。
11月8日(土)は、モデナ中心部・ピアッツァ ローマでの華やかなカーエキシビションを皮切りに、モデナ管弦楽団のリハーサルが行われるテアトロ・コムナーレのプライベート見学を実施しました。マセラティ本社の工場ツアーでは、ミラノ・スカラ座のエトワールであり、新たにマセラティ・ブランド・アンバサダーに就任したロベルト・ボッレ氏が特別なパフォーマンスを披露しました。
最後に、11月9日(日)には、モデナの街全体がオープンエアのミュージアムへと姿を変え、クラシックから最新モデルまでのマセラティ車が市内をパレードしました。パレードの終着点となるムゼオ・パニーニでは、コレクションの数々を特別に見学。
その後、マルザーリアのモデナ・アウトドローモへ移動し、「MC20」や「GT2ストラダーレ」のステアリングを握ってサーキット走行を体験しました。マセラティの魂を五感で感じる、まさにクライマックスとなる一日です。
この壮大なフィナーレをもって、モデナは自らの象徴であるマセラティを迎え入れ、「グラントゥーリズモ」と「グランカブリオ」の“故郷への帰還”を祝った特別な一週間を締めくくります。
Modena, Città di Maserati:モデナ、マセラティの街
約90年にわたり、モデナはマセラティというブランドとともに歩み、その情熱と創造性を育んできました。今、街は“トライデント”に染まり、誇りとともにブランドへの敬意を表しています。
街の随所に掲げられた新たなスローガン「Modena, Città di Maserati(モデナ、マセラティの街)」が、ビルボードや市街中心部のパネル・インスタレーションを通じて展開され、マセラティが街全体に息づく姿を象徴しています。
マセラティとモデナを結ぶ物語の舞台のひとつとなるのが、ピアッツァ XX セテンブレのアルビネッリ市場です。1931年にアール・デコ様式で誕生したこの屋内市場は、優美な鉄細工の構造や明るい採光窓が特徴で、モデナの日常を映し出す活気に満ちた空間として知られています。
今回の特別な機会に合わせ、市場のアーケードや入口はトライデントのカラーで装飾され、マセラティとモデナの深い絆を讃えるパネルやインスタレーションが設置されます。
そのすぐ近く、ヴィア・エミリア通りを少し進むと、コッレージオ・サン・カルロの一部であるポルティコ・デル・コッレージオが姿を見せます。
現在は「ファンデーション・コッレージオ・サン・カルロ」が拠点を置くこの場所が、洗練されたアーバンギャラリーへと変貌を遂げます。長年にわたり文化と知識の発信地として親しまれてきたこの魅力的な空間が、今回初めて、マセラティのための特別なステージとなります。
そして、この祝祭を記念して、マセラティは特別仕様のリバリーを纏った車両を街中で走らせ、イベントを盛り上げます。「グラントゥーリズモ」2台と「グランカブリオ」1台が、モデナを象徴するイエローとブルーのカラーで彩られ、ボディサイドには音楽をモチーフにしたデザインが施されています。トライデントのエンブレムがト音記号の代わりに置かれた五線譜が、マセラティとモデナを美しく結びつけます。
このプロジェクトが伝えたいメッセージは明確です。
「マセラティ メッカニカ・リーリカ」は、トライデントを通じて、エンジニアリングとアートが出会う場所です。ソナス・ファベールの音響芸術によってその出会いは豊かに響き、技術の精密さと音楽の感性がひとつに溶け合う、調和の美を讃える祝典となります。音を通してマセラティとその故郷モデナを結びつける文化的かつ象徴的な意義をもちます。
ここモデナでは、機械が旋律を奏で、音楽がその個性を語ります。モデナに息づく鼓動こそ、マセラティの心であり、ブランドが自らの“声”を再び見出す場所なのです。
2.「グラントゥーリズモ メッカニカ・リーリカ ワンオフ」と「グランカブリオ メッカニカ・リーリカ ワンオフ」
マセラティは、「グラントゥーリズモ」および「グランカブリオ」の生産拠点が故郷モデナへと帰還したことを記念し、2台の特別なワンオフモデルを製作しました。
イタリアのモーターバレーで最も長い歴史を誇るブランドから生まれたこの特別仕様車は、音楽とオペラ、そして機械工学が完璧な調和を奏でる街、モデナとの深い絆から着想を得ています。それはまさに、“メイド・イン・イタリー”の真髄を体現する一台です。
歴史あるヴィアーレ・チロ・メノッティの「マセラティ・オフィチーネ・フォーリセリエ」で製作された「グラントゥーリズモ メッカニカ・リーリカ ワンオフ」と「グランカブリオ メッカニカ・リーリカ ワンオフ」 は、イタリアの匠の技と美意識が結晶した、比類なきクラフトマンシップの象徴です。
最高出力550psを誇るトロフェオ仕様の両モデルは、モデナが誇るオペラの殿堂 テアトロ・コムナーレ・モデナ・パヴァロッティ=フレーニ劇場 に着想を得ており、力強くも美しい調和を体現しています。
マセラティのデザインセンターである「チェントロ・スティーレ」は、劇場という夢の空間から着想を得ました。細部のひとつひとつが、モデナを象徴するオペラハウスを訪れる体験を表現。観客席の赤いベルベットに身を沈め、ネオクラシック様式の装飾に囲まれながら、重厚な幕が上がり、2台の特別なモデルが現れる瞬間を思わせるデザインに仕上げられています。
その魅惑は、新たに採用されたエクステリアカラー“ロッソ・ヴェルート”と“オーロ・リーリコ”から始まります。「グラントゥーリズモ」の専用カラーである“ロッソ・ヴェルート”は、劇場ホールや緞帳を想起させる、奥行きのある赤。その深みと艶やかさ、そして複雑な製法によって生まれる色合いは、光を受ける角度によって深い陰影から鮮やかな輝きへと変化します。
一方、“オーロ・リーリコ”は光に照らされると赤みを帯びるシャンパンゴールドで、温かみのある光沢と虹色のような輝きを放ち、オペラの伝統的な雰囲気を想起させます。いずれのカラーも、幾層にも重ねた顔料が、マセラティならではの詩的な光と陰を描き出します。
グリルに配されたトライデントは、先進運転支援システム(ADAS)のレーダー機能を備えながら、“ゴールド”仕上げに刷新され、伝統と優雅さを表現しています。ピラーのトライデントも同じ“ゴールド”で彩られ、車全体に統一された上品さを与えます。
“ロッソ・ヴェルヴェット”の「グラントゥーリズモ ワンオフ」は、“ホワイトゴールドマット”仕上げのバッジと同色のCピラー・トライデントを備え、ボディとのエレガントなコントラストを演出しています。
一方、“オーロ・リーリコ”の「グランカブリオ ワンオフ」は、“ロッソ・ヴェルヴェット”のバッジを採用し、温かみのある輝かしい色彩効果を生み出しています。“オーロ・リーリコ”のボディ、“ホワイトゴールドマット”のバッジ、フロントの“ゴールド”ホイールと、マセラティが織りなす光と素材のハーモニーが、唯一無二のスタイルを完成させています。
印象的なポイントのひとつが、「マセラティ メッカニカ・リーリカ エキゾースト」です。
エンジニアと「チェントロ・スティーレ」の協力で設計され、ワンオフモデルのサウンドをより力強く、個性的に仕上げています。新設計のエキゾーストチップは、深く温かみのあるメタリック仕上げを施し、ワンオフモデルの“ゴールド”カラーと調和。精密機械と、オペラの光と空間が融合した世界観を想起させるデザインです。
また、サウンドの再設計ではソフトウェアの調整も施され、バルブの動きをより繊細に制御。走行モードやエンジンのスタートに応じて多彩な音色を奏で、型式認証基準を満たしつつ、マセラティ伝統の響きを余すところなく体感できる仕様となっています。
インテリアも特別で、ワンオフモデルとして初めて、「グラントゥーリズモ」のキャビンにレザーとアルカンターラを組み合わせ、自然素材とテクノロジーが響き合う、力強くも洗練された現代的な空間を創出しています。
クロームやインテリアトリムには、職人の手作業による“ゴールド”塗装が施され、温かみと奥行きを感じさせます。
ソナス・ファベールのオーディオシステムのグリルも同じ仕上げで統一され、全体の高級感をさらに引き立てます。ドアやダッシュボードには“レッド”塗装のポプラ材を使用し、イタリアの弦楽器製作技術とモデナの豊かな音楽文化へのオマージュとなっています。このコラボレーションは単なる提携を超え、ソナス・ファベールの音響技術が「メッカニカ・リーリカ」の世界に直接溶け込んでいます。
最後の仕上げとして、運転席側ドアパネルに新しい「Creata a Modena」バッジを取り付けました。このバッジは、モデルの唯一無二の存在であること、そしてエミリア地方発祥であることへの誇りを象徴するものです。
こうして完成したクルマは、二つとない唯一無二の作品であり、「フォーリセリエ」ならではのオーダーメイド技術が存分に表現されています。
さらに、特別に仕立てられた高級ウール製カーカバーを、「グラントゥーリズモ」と「グランカブリオ」それぞれに用意しました。まるでオーダーメイドの衣服のように車体を包み込み、高品質ウールはボディラインに沿って優雅にフィットします。
グリルやパターンには“ゴールド”のマセラティとトライデントのロゴがあしらわれ、リアナンバープレートには「Fuoriserie」に代わり「Creata a Modena」と刻まれています。
「マセラティ メッカニカ・リーリカ パック」
「フォーリセリエ」の体験と特別なワンオフモデルを起点に誕生した「マセラティ メッカニカ・リーリカ パック」は、マセラティのパーソナライゼーションへのこだわりを体現する記念パッケージです。
「グラントゥーリズモ」および「グランカブリオ」の全モデルに、2台のワンオフモデルの特徴を取り入れています。
特に、フロント20インチ/リア21インチのクリオホイールは、“マットブラック”仕上げのダイヤモンドカットに“クリアコートゴールド”を施し、ハブキャップには“マットホワイトゴールド”のトライデントを配しています。これにより、特別設計のエキゾーストチップや“ホワイトゴールドマット”のエクステリアバッジと美しく調和します。
さらに、フロントのトライデントも同色で統一し、“バーガンディ”のスーパーソフトレザーにトーンオンストーンのステッチ、ヌードアルカンターラにはカンピドリオの丘のグラフィックを施しました。ステアリングホイール、シートベルト、ヘッドライナー、フロアマットは“ブラック”で統一し、専用の「Creata a Modena」バッジをアクセントとして配しました。
新しい記念パッケージの中でも特に目を引くのが、「メッカニカ・リーリカ」専用にデザインされたエキゾーストチップです。
本プロジェクトのために生まれたこのデザインは、サウンドの言語を視覚的に表現することを目的としています。音質そのものには直接影響を与えませんが、新しいエキゾーストチップはエンジン音を美しく表現し、独自の感動を生み出します。
フル電動の「グラントゥーリズモ フォルゴレ」と「グランカブリオ フォルゴレ」にも、「メッカニカ・リーリカ パック」のデザインはしっかりと受け継がれています。
電動仕様のため排気口や専用ホイールは付属しませんが、パッケージの特徴的な要素はそのままで、どのモデルでも一体感のある美しいスタイルを楽しむことができます。
マセラティ「フォーリセリエ」パーソナライズ・プログラム
「フォーリセリエ」は、マセラティならではのオーダーメイド技術を余すところなく体験できる特別なプログラムです。オーナーとの対話を起点に、ボディカラーからインテリア素材、細部の装飾に至るまで、あらゆる要素を自由にカスタマイズでき、構想段階から完成までの全過程に深く関わることができます。
「フォーリセリエ」では、ボディカラーやリバリー、ブレーキキャリパー、ホイール、インテリアまで、幅広い組み合わせを自由に選べます。専任デザイナーのサポートを受けながら、オーナー自らがクルマのスタイリストとなり、理想の一台を作り上げることができます。
パーソナライゼーションには、「カタログ」と「ビスポーク」の2種類があります。「カタログ」はクラシックで洗練されたスタイルを愛する人向けで、「ビスポーク」は、顧客の要望に応じて世界に一台だけのモデルを作る、究極のオーダーメイド体験です。
数千通りの組み合わせからから選びやすくするために、「カタログ」には「コルセ」と「フトゥーラ」という2つのコレクションがあり、近日中に「ユニカ」という新しいカプセルコレクションも加わる予定です。これは、マセラティが常に新しいスタイルを探求し、顧客に新たな個性表現の機会を提供し続けていることの証です。
「コルセ・コレクション」はブランドの輝かしいレーシングの歴史から着想を得ており、「フトゥーラ・コレクション」は変化を楽しみながら最先端の革新を求める方のためにデザインされています。そして、新たに加わる「ユニカ・コレクション」は、毎年の社会文化的・素材・カラーのトレンドを反映し、その時々を大切にしながら、最も大胆なカスタマイズを追求する方に向けられています。
最後に、究極のオーダーメイド体験を提供するのが「ビスポーク」モデルです。ここではオーナーの思い描くビジョンを自由に形にでき、世界に一台しかない特別な車をマセラティのクリエイティブチームと共に創り上げます。「ビスポーク」は、「フォーリセリエ」の最高峰であり、夢を現実に変え、比類のない個性あふれる一台を生み出します。
先日発表された通り、マセラティの「フォーリセリエ」の世界は、より大規模で特別なプロジェクト「BOTTEGAFUORISERIE」の一環となりました。
この新プロジェクトは、マセラティとアルファロメオの創造力を結集し、モデナからトリノ、ミラノ近郊のアレーゼまで広がるイタリアのモーターバレーの象徴となります。ピエモンテ、ロンバルディア、エミリア=ロマーニャの自動車文化が集まるこの地域で、プレミアムカーの新たな価値が育まれます。
「BOTTEGAFUORISERIE」のもとで、時を超えるカスタムカーや歴史的に忠実なレストア、五感で楽しむ体験、革新的な素材研究、そして最高レベルのパフォーマンス開発など、イタリアを代表する多彩なプロジェクトが次々と生まれます。
3. マセラティの街・モデナと歴史を刻むヴィアーレ・チロ・メネッティ工場
マセラティの本拠地、モデナ
モデナは、90年近くにわたってマセラティの鼓動を刻み続けてきた街です。モーターバレーの真珠と称されるこの地は、マセラティの故郷として知られてきました。ブランドの精神はこの街で生き続け、常に進化を遂げています。
歴史あるヴィアーレ・チロ・メノッティ工場と、新たな創造の拠点「オフィチーネ・フォーリセリエ」では、最も洗練されたモデルたちが生み出され、マセラティならではのエレガンスとスタイル、そして圧倒的なパフォーマンスが形となっています。現在、マセラティのクルマは世界70以上の国と地域に届けられ、モデナがブランドの心臓部であり続けることを物語っています。
マセラティとモデナの絆は、1939年にオルシ家がブランドを受け継ぎ、ヴィアーレ・チロ・メノッティに新本社の建設を開始したことに端を発します。以来、マセラティとエミリアの街との結びつきは途切れることなく続き、時代の変化とともに進化を遂げながら、常に卓越性を追求し続けてきました。
1914年、アルフィエリ・マセラティとその兄弟エットーレ、エルネストによって創業されたマセラティは、ボローニャ(ポンテヴェッキオ)から、オルシ家の事業拠点であったモデナへと本拠を移しました。
新たな拠点では、自動車の開発や研究・技術革新への投資を進め、やがて世界に名を馳せるモデナ発のブランドとしての地位を確立します。1940年1月1日には、現在もマセラティの本社と生産拠点として機能しているヴィアーレ・チロ・メノッティ工場が正式にオープンしました。
モデナの工場では、自動車史に名を刻む数々の名車が誕生してきました。中でも、1954年と1957年のF1世界選手権で優勝した名車「250F」や、高性能エンジンを初めてセダンに搭載した「クアトロポルテ」は、マセラティの革新性と技術力を象徴する存在です。
ヴィアーレ・チロ・メノッティの敷地には、時代を超えて進化を続ける2つのエリアがあります。
2000年代初頭に完成した新しい建物にはショールームやオフィス、社員用の駐車場が整備され、1930年代後半に建てられた歴史的エリアでは、組立ラインやテストエリア、仕上げ工程、そして最新の環境技術を採用した新塗装ラインが稼働しています。
2020年、マセラティはモデナの拠点を全面的にリニューアルし、新時代の象徴となるスーパースポーツカー「MC20」の生産ラインを新設しました。同時に、新たな塗装工場や、自社開発エンジン「ネットゥーノ」の開発・組立を行う専用エリアも整備されています。
今年、モデナの拠点は新たに三つの物語を刻みます。新施設「マセラティ・オフィチーネ・フォーリセリエ 」の誕生、マセラティの情熱とパフォーマンスを純粋に体現する「MCプーラ」の生産開始、そして歴代モデルが誕生したこの地で再び「グラントゥーリズモ」と「グランカブリオ」が造られることです。
伝統を受け継ぎ、地元モデナを称え、マセラティのものづくりの原点がここにあることを再び示す節目の年となります。
熟練の技と柔軟性──歴史ある工場の新たな進化
マセラティのモデナ工場は、イタリアのクラフツマンシップと創造性が息づく場所。熟練した職人の技と高い柔軟性を兼ね備えた生産体制により、自動車業界においても卓越した水準を誇ります。
その高い対応力によって、モデナ工場では「MCプーラ」の製造ラインに「グラントゥーリズモ」および「グランカブリオ」の生産工程を短期間で統合し、高効率かつ高品質な生産体制を確立しています。
驚くべきことに、このリノベーションプロジェクトは、トリノのミラフィオーリ工場で最後の車両が生産されてから、モデナ工場で新たな車が完全に組み上げられるまで、わずか45日で実現しました。生産能力(最大1日7台)や品質水準への影響は一切なく、完璧な移行を成し遂げたのです。
このプロジェクトは、工業技術の精度と柔軟性を示す好例となりました。
モデナのチームは、「MCプーラ」、「MCプーラ チェロ」、「GT2 ストラダーレ」、「グラントゥーリズモ」、「グランカブリオ(内燃および電動フォルゴレ仕様)」を同一ライン上で生産しながら、生産リズム、効率性、品質のすべてにおいて最高水準を維持する能力を証明しました。
モデナ工場の生産体制は、計測エリアを備えたボディライン、塗装エリア、エンジン組立ライン、機械準備エリアを併設した車両組立ライン、テストライン、最終仕上げラインの6セクションに分かれています。コンパクトでありながら極めて洗練された構造を持ち、70を超えるステーションが精密に連携しています。
中でも誇りとするのは新設された塗装エリアであり、「マセラティ オフィチーネ・フォーリセリエ 」による特別仕様の仕上げを含むすべての生産ニーズに対応。まさに“100%メイド・イン・モデナ”の体験を完結させる存在です。
マセラティの柔軟性を象徴するこの組立ラインでは、ボディ搬送にAGV(自動搬送車)システムを、車両の多様な仕様にリアルタイムで対応するためにTTS(チーム・トロリー・システム)を採用しています。このモジュラー構造により、同じチームが「MCプーラ」から「グラントゥーリズモ」までを一つのラインで手がけることができ、快適な作業環境と静粛性、そして最高水準の安全性を確保しています。
物流においても、マセラティは柔軟性と革新性というブランドの精神をそのまま反映しています。
グローバル輸送・物流大手のDSV社は、「MC20」および「MCプーラ」の生産に携わるパートナーとして、生産拠点に隣接する保管施設を倍増。部品の流れからライン供給に至るまで、あらゆる工程を精密にコントロールすることで、より高い効率と正確性を実現しています。
同様に、ITインフラも刷新し、物流と生産を一体化したデジタルフローを実現しました。各車両には、数千のデータが紐づけられ、それぞれのパーツがどのように組み上げられたのかを追跡できる、精緻な“ワン・トゥ・ワン”のデジタルチェックが行われています。
今回のリノベーションでは、生産ラインや部品構成表、情報の流れを一から見直し、ミラフィオーリからモデナへのコード移行と管理を実施しました。これにより、効率性と相互接続性を高めたシステムが構築され、マセラティの新しい産業理念に完全に整合した体制が確立しました。
テストエリアもまた、新型「グラントゥーリズモ」および「グランカブリオ」に対応するため、全面的に再編されました。刷新・高度化された設備は、術仕様やパフォーマンスを精密に検証し、最新の生産プロセスや工場全体の技術的進化と整合する形で運用されています。
この革新は、人間の知恵と技術によって支えられています。マセラティのモデナ工場には、専門訓練を受けた熟練スタッフが集い、情熱をもって車両生産に携わっています。ブランドが大切にしてきたクラフトマンシップの伝統に則り、車両は一台一台手作業で組み立てられています。
自動化は必要最小限にとどめられ、工場全体で使用されるロボットは3台のみ。うち2台はボディ塗装用、1台は組立工程に入る前の繊細な作業で、フロントおよびリアウインドウへの接着剤を精密に塗布するために使用されています。
「マセラティ・オフィチーネ・フォーリセリエ」と新塗装工場
数か月前、マセラティの故郷モデナに、新たな創造の拠点「オフィチーネ・フォーリセリエ」が誕生しました。ここでは、顧客の想像力に一切の制限がなく、革新的な塗装工場が併設され、夢の一台を形にするためのコンフィギュレーション体験が可能です。
「オフィチーネ・フォーリセリエ」は、世界に一台だけのクルマを創り上げる特別な旅。初期設定からモデナの工場での特別納車を一貫してサポートする、マセラティ独自のビスポーク体験です。
この体験は、新しく生まれ変わったフォーリセリエ・ラウンジから始まります。ここでは、マセラティのパーソナライゼーションの世界を五感で体感することができます。素材やカラー、仕上げを実際に触れながら、「カタログ」や「ビスポーク」のオプションを通して理想の一台を描き出します。
塗装プロセスの見学や3Dコンフィギュレーターによるバーチャル体験に加え、ソナス・ファベールがコラボレーションへのオマージュとして製作した特別仕様のスピーカー「アマティ・フォルゴレ」が空間に響き、高精細ヘッドセットを通じて、想像を超える没入感を提供します。
次の工程は生産エリアへと移ります。ここでは手作業で丁寧に塗装の下準備と品質チェックが行われ、最新鋭の塗装工場にて高度な塗装工程が開始されます。
工程は3つのステージで構成されており、クリーンルームでの清浄処理、ロボットによる塗装と静置、そして80℃での焼き付け(必要に応じて二度目の焼き付けを実施)という流れで進行します。こうして、細部に至るまでの職人技によるパーソナライゼーションが完成します。
新設された「オフィチーネ」には20以上の塗装ステーションを配置し、新型「グラントゥーリズモ」および「グランカブリオ」を含む全モデルの塗装に対応。約4,000平方メートルにわたるエリアには最先端の塗装技術が集結し、常に進化を続ける豊かなカラーパレットに対応、ブランドのレーシング(Corse)およびヘリテージのDNAに着想を得た多彩なリバリーも選択可能です。
最大で1日24台の塗装が可能で、1シフトあたり8台まで処理できる生産能力を誇ります。
フル稼働時には、「オフィチーネ・フォーリセリエ」には最大110名の高度な専門技術者が従事し、そのうちすでに40名がトレーニングを修了しています。マセラティが誇るテーラーメイドカーの最高品質を確保するための体制が整えられています。
「マセラティ・クラシケ」
モデナには、クラシックカー公式認定プログラム「マセラティ・クラシケ」があります。ブランドのヘリテージを守り、その真正性を維持することを使命とし、オーナーやコレクターに向けた特別なアフターサービスを展開しています。
2021年に「マセラティ・オフィチーネ」で始動したプログラム「マセラティ・クラシケ」では、専門家委員会による厳格な審査を経て、真正証明書の発行を行っています。
このプログラムは、製造から20年以上が経過したマセラティ車両に加え、「MC12」や限定仕様の「クアトロポルテ」など、特別モデルも対象としています。また、車両のメンテナンス依頼にも対応し、自社内でのオンデマンドによるカー・ディテイリングサービスも提供しています。
コレクターやオーナーのために設けられた「マセラティ・クラシケ」では、車両保存を支援し、オリジナルの魅力を再現するための包括的なサポートを提供しています。
クラシック、ヤングタイマー、そして特別仕様車のオーナーのために、日常的なメンテナンスからレストア作業までを網羅する専用プランを用意。また、市場に流通していない純正部品の再製造も行い、当時の設計を尊重しながら最新技術で信頼性と性能を高め、外観のオリジナリティを保ちます。
「マセラティ・クラシケ」を支えるのは、マセラティの心臓部ともいえる「ヒストリカル・アーカイブ(歴史資料館)」。このアーカイブでは、1950年代後半以降に生産されたすべてのマセラティ車両に関する記録が保管されており、ブランドの歴史を守り続けています。
世界中のコレクターに向けて、それぞれの車両の歩みを辿るための公式文書を提供し、シリアルナンバーの記録や製造過程の記述、オリジナル仕様を再現するために欠かせない資料を保存・管理しています。
「マセラティ・クラシケ」は、マセラティが原点に立ち返り、エレガンスとスポーティネスというDNAを再確認する場です。
マセラティのクルマは、単なる技術や革新の結晶ではなく、時を超えて受け継がれる美学と精神の象徴。その伝統は今も息づき、ブランドの未来に新たなインスピレーションを与えています。
先日発表されたとおり、「マセラティ・クラシケ」は、マセラティとアルファ ロメオという2つのイタリアを代表するブランドの創造力を融合させる新たなプロジェクト「BOTTEGAFUORISERIE」の一翼を担います。
この新たな取り組みのもとで、「マセラティ・クラシケ」は両ブランドの歴史的遺産を守り、その価値を未来へと伝えていきます。レストアや真正証明、クラシックモデルの修復といった活動を通じて、マセラティとアルファ ロメオのレガシーが次世代へと継承されることを目指します。
4. 時を超えて輝く二つの名車──「グラントゥーリズモ」と「グランカブリオ」の軌跡
2022年と2024年にそれぞれ誕生した新型「グラントゥーリズモ」と新型「グランカブリオ」は、マセラティが長年大切にしてきた「イタリアン・グラントゥーリズモ」の精神を、最も純粋な形で体現しています。
スポーツカーの高いパフォーマンスと、長距離移動にふさわしい快適性を兼ね備えたこの2台は、パワフルな内燃エンジン仕様と、最先端の100%電動仕様の両方を展開し、共に「イタリアン・ラグジュアリー」の新たな時代を切り拓いています。
「グラントゥーリズモ」の物語は、2007年のジュネーブ国際モーターショーで幕を開けました。
ピニンファリーナが手掛けた4シーターの2ドアクーペは、1947年のマセラティA6 1500を現代的に再解釈したモデルとして発表され、瞬く間にアイコンとなりました。
世代を重ねるごとに、その存在は進化を遂げ、やがてマセラティの象徴のひとつとして語り継がれるモデルとなります。2009年にはドイツ国際モーターショーにて、「グラントゥーリズモ」とともに「グランカブリオ」が華やかに初披露されました。
度重なるアップデートを経て、「グラントゥーリズモ」は、空力性能や操作性、そしてインフォテインメントを刷新したMY18モデルでひとつの完成形に到達しました。2007年から2019年にかけて、「グラントゥーリズモ」と「グランカブリオ」は世界各地で高い評価を獲得し、登録台数4万台突破(グラントゥーリズモ28,805台、グランカブリオ11,715台)という記録を打ち立てました。
最後の“モデナ生まれ”モデルとなったのは、2019年に発表された「グラントゥーリズモ ゼダ」でした。先代モデルの生産終了を告げるとともに、数年後に登場する新型「グラントゥーリズモ」へとバトンを託す存在となりました。
その後、生産拠点はトリノのミラフィオーリ工場へと移り、「フォルゴレ」としてマセラティ初の100%電動パワートレインを搭載したモデルへと進化しました。